おしるこ
(甘すぎて食えねぇ)
おしるこを食べるときの心の中の第一声だ。
甘いものが苦手だ。
コンビニに入っても、甘いものを買う確率なんて0パーだし、デザートも注文しない。
そういえば、ソフトドリンクも飲まなくなった。
しかし、私は正月に実家に帰るたびに、私専用の甘いおしるこを作ってもらい、それを食べる。
なんで?
私が聞きたいくらいだ。
なんでだ。
実家に帰ると、家にたまっている甘いお菓子を我先にと食べに行ってしまうのだ。
変なスイッチが入ってしまう。
私は末っ子で、親戚の集まりでも一番下だった。
もしかしたら、その時に身につけた居場所の作り方なのかもしれない。
多少わがままに甘いものを欲したりした方が逆に期待に応えられたのである。
母親が「あんただけのためにわざわざ小豆買ってくるの面倒くさいわぁ」とため息をつくとき。
正直に「もうおしるこはいいよ」とは言えない。
というより言いたくない。
会う回数も減って、関係性も大人同士のものに変わり、分かりやすく甘えたりすることはもうできない。
わがままな甘いもの好きであることで、過去の自分の幻影をほんの少しでも重ねているのかなぁと思う。
このしょうもない行動は多分まだ数年続くだろう。
てなことを、実家から送られてきたおしるこを食べながら思い出した。
やっぱり、一人では食べきれない。